2009年12月20日

 「駅が好きだ。知らない場所にいくための玄関、という感じがするから」―これは
江國香織の『とるにたりないもの』(集英社)の「駅」の書き出しである。
実は、私も駅が好きである。旅なら目的地より、そこまでの路線に惹かれ行くこと
もある。小説でも、駅の場面はずっと心に残っている。『アルプスの少女』のフランク
フルトの駅、『アンナ・カレーニナ』のクリン駅、『点と線』の東京駅など。そして、
もちろん自分が住んでいた最寄りの駅、旅で訪れた忘れられない駅もある。
以前、なにかで「人はだれも移動していく習性を持っている」と読んだことがある。
それは遥から来て、遥へ帰っていくことなのだろうか。
私は大人になってふるさとを離れた。でも、家に帰るとき、母はいつも近くの駅で
迎えてくれた。そして、もどって行くときは、また駅まで送ってくれた。春には、改
札口のそばに桜の咲く駅だった。駅では特に、おたがいに話さなかった。私は人は、
こんな小さな別れをくりかえしていくことを思っていた。

  旅            杉山平一
 
桜の花は、田舎の小さな駅によく似合う




「少年詩の學校」6号 章立てエッセイより

もうすぐ冬休み、クリスマス、お正月ですね。
子どもの頃は、指折り待っていました。
でも、なかなか日が過ぎてくれないのです。
時間はゆっくり流れていたのですね。

昨日、家の近くを、ゆっくり歩きながら、
駅のそばを通っていたとき、
ふと、改札口をみると、向こうに
こどもの頃の時間がみえて、消えていきました。


posted by YH at 09:28| Comment(2) | 詩(家族の風景) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは。

杉山平一さんをのせていただき
ありがとうございます。

お名前は 詩史(詩人の流れ)の中で
記憶がありました。

杉山(高い所)平一(低い所)という
対比がおもしろくて

ペンネームかな?と
ずいぶん以前に気になったこと
思い出しました。

残念ながら 
詩は覚えていなかったので
さっそく読んでみました。

いいですね。
とても好きでした。

謙虚に生きる。
それも 向き合うものを
真摯に 初々しく見つめながら・・・

そんな姿勢が 平易な言葉で
端的に書かれていました。

八木重吉さんの“ひとすじさ”と
似たものを感じました。


前回 はたちさんから
「詩を書いているのでは・・・」と
ご推測いただきましたが

実は
20代までは書いていました。

同人誌のまねごとも少しだけ。

でも 
私は書く側ではないとわかりました。

いいものを見つけるのはうまいのですが
自分の表現は ダメです。

ですから 
はたちさんやまどさんや
それと杉山さんもそうなのでしょうが

簡単な 何でもない日常の言葉で
“本質を突く”
それも 説明という装飾をしない分
容赦ない強さとしなやかさがある。

そういう「確かな目」を知ってしまうと
自分はあまりにお粗末で
とても書けなくなりました。

だから
いいものを見つけて
ひそかに 一人で楽しむ。。。

それがよろこびなのです。

これからも
いろいろ教えてくださいね。

どうぞよろしくおねがいします。
Posted by もあママ at 2009年12月22日 18:27
コメントありがとうございます。

杉山平一さんを読んでいただき、うれしいです。
現代詩の第一人者の詩人ですね。
ずっと 愛読しておりました。

杉山平一さんは、毎年、年間ベスト3の詩集を選ばれておられるのですが、
私の詩集「またすぐに会えるから」と「いますぐがいい」をその出版年には、
選んでくださっていたのです。驚きました。

講演会で、一度遠くより、お見受けしただけでしたが、
ネットでこのことを知り、お便りさせていただきました。
お返事くださって、うれしかったです。

もあママさんも、詩をお書きになっておられたのですね。
うれしいです。
ぜひ またお書きになってくださいね。
私も、書くときはいつも初めてのようです。

ありがとうございます。
どうぞ お風邪など引かれませんように。
Posted by はたち at 2009年12月22日 20:50
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