麦わらぼうしこの詩は「赤い鳥賞」をいただいた詩集の中にあります。
ゆるやかな坂道を
おかあさんと
小学校二、三年くらいの
兄妹が下りてくる
三人は
麦わらぼうしを かぶっている
旅行にでかけるらしい
わらうたびに
麦わらぼうしが ゆれている
きょうから 夏休み
空に
飛行機雲が
二本のレールを引いている
三人は
おかあさんの
ふるさとへ 行くにちがいない
おかあさんは
もう 少女になっている
すれちがうとき
真新しい
麦わらぼうしのにおいがした
「またすぐに 会えるから」より
受賞式にとき、選考委員の砂田弘先生が、
選考経過を話されるとき、この詩を読んでくださったこと、
ずっと忘れられません。
砂田先生は、児童文学では第一人者ですが、
いつもシャイな感じでいらっしゃいました。
お亡くなりになられましたが、折りにふれ思い出されます。
ありがとうございます。
詩の中の、少女のおかあさんは
遠い日のわたしかもしれません。
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