2014年07月16日

一枚の写真



一枚の写真        はたちよしこ


父が亡くなった夏、家の門にさるすべりの花が咲いて
いた。淡い白に近い色だった。お葬式から数日のこと。
花があまりにきれいなので、集まった数人で写真を撮る
ことにした。みんなは玄関にあった下駄、サンダルなど、
それぞれに履いて出たのを憶えている。
その後、出来上がった写真を見ると、母は父の皮靴を
履いている。そういえば、母が来ないのでカメラをかま
えながら「早く 早く」と呼んだ。そのとき玄関には、
他に履物がなかったのだろう。母は、とっさに父の靴を
履いたのだ。不格好な足元。けれど思った。死んだ父も
一緒に写真に入りたかったのではないだろうか。几帳面
で靴は自分で磨き、いつも汚れのない靴を履いていた父
だった。写真の中で、みんなかすかに微笑んでいる。




「ノート」より

重清良吉先生という方が児童文学の詩の会におられました。
亡くなられて19年になります。
詩論研究会など、いろいろご一緒にさせていただいてきました。

この12日がご命日でした。
毎年、奥様にお便りをするたび、なつかしく、いまも残念です。

父の命日も、もうすぐです。
もう 何年も過ぎてしまいました。
でも 家族のこと、折りにふれて思い出します。

星はめぐっているのですね。
元気でいきたいと思います。
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posted by YH at 10:16| Comment(2) | 詩(家族の風景) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おはようございます。

この散文詩を読ませていただく度
私の父を思い出します。

絵も字も上手でした。
自作のお話をよく聞かせてくれました。
歴史が好きで
日曜大工で何でも作っていました。
子どもが好きでした。
よその家の赤ちゃんや子どももとてもかわいがりました。
夜眠るとき
枕元には明日の衣服の支度が整えられていました。

もちろん
靴は自分で磨き いつも汚れのない靴を履いていました。

亡くなっても
その方の残したあれやこれやが不意に甦りますね。

お父さまとお母さまのくらしも見えるようです。

Posted by もあママ at 2014年07月19日 09:30
もあママさん
こんにちは。コメントをありがとうございます。

もあママさんのお父様は、素敵な方だったのですね。

亡くなって、その人たちは
どこへと、思うことがあります。

ただ、その人を思い出すということは、
その人をそばに呼んでいることかも
しれませんね。
命日近くなりますと、いっそう思われます。

お墓が奈良なので、
行きたいと思いつつです。
叔母や伯父たちにも会いたいと思っています。

もあママさん、これから暑い夏です。
どうぞ お身体お大事になさってくださいね。

いつもコメントをありがとうございます。
Posted by はたち at 2014年07月19日 10:29
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